社会保険労務士の業務を無資格で行ったとして、大阪府警は10月20日、税理士法人(大阪市中央区)の代表税理士(39)(大阪府東大阪市)ら2人を社労士法違反容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。府警は2022年4月〜今年8月、約340件の業務を無資格で行い、約400万円の報酬を得たとみている。
捜査関係者によると、他に逮捕されたのは、同法人の従業員で行政書士(46)(大阪市住吉区)。2人は共謀し、6〜7月、大阪府と東京都にある顧問先の3企業について、社労士資格がないのに従業員の労働保険料に関する申告書や還付請求書計4通を作成し、大阪労働局などに提出して報酬計4万円を受け取った疑い。
昨年10月、大阪府社会保険労務士会から情報提供があり、府警が同法人の事務所から資料を押収するなどして捜査を進めていた。報酬は1件あたり5000円〜10万円だったという。
同社労士会は「社労士の制度は労使双方の権利を守り、福利厚生を支えるものだ。無資格者が業務を行えば、利用者の信頼を損ねるだけでなく、公益性を大きく傷つける」としている。
非社労士による業務侵害にご注意ください
労働社会保険に関する申請書等の作成及び届出の業務や労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成業務などについて、業として行うことができるのは、社会保険労務士法により社労士の資格を付与された社労士だけです。
アウトソーシング等を行う法人組織、経営コンサルティング会社等の無資格者や、労務管理士などと称していても社労士でないものが上記の業務を行えば、社会保険労務士法違反となります。
また、上記の無資格者が、給与計算システム等を使用し、給与計算に付随して労働社会保険諸法令に基づく申請書及び帳簿書類等を作成することも同様に社会保険労務士法違反です。
【参考】社労士法第27条(業務の制限)
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。










