健康保険法には、
「同時に2以上の事業所から報酬を受ける被保険者については、各事業所について前記のそれぞれの方法によって算定した額の合算額が報酬月額とされ、これに基づいて報酬月額が決定される」(健康保険法第44条3項)と明記されています。
つまり、事業所ごとに単体で保険料額が決まるのではなく、下記のようなプロセスを経て決定されることとなります。
また、保険料については、上記の標準報酬月額に該当する保険料額を各事業所の標準報酬月額に応じて按分することとなります。
二以上事業所勤務者の保険料計算方法
選択事業所の報酬月額をA、非選択事業所の報酬月額をBとすると、当該被保険者の標準報酬月額ZはA+Bの合算額を保険料額表にあてはめて求められます。
それぞれの事業所が負担する保険料は以下の通りになります。
二以上事業所勤務者本人が負担する保険料について具体的な計算方法を見てみます。
※便宜上、端数は切り捨てています
なお、賞与における保険料については、
選択事業所における賞与額と非選択事業所における賞与額を合算して求めた標準賞与額に対して選択事業所の保険料率を掛け、賞与額に応じて按分した金額がそれぞれ負担する保険料になります。
二以上事業所勤務者における算定基礎届・月額変更届の実務
二以上事業所勤務者にかかる算定基礎届は、
選択事業所を管轄する年金事務センター/健康保険組合から各事業所に専用の届出用紙が送付されます。自社の報酬のみを記載の上、選択事業所を管轄する年金事務センター/健康保険組合に提出することで、各事業所から受ける報酬を合算の上、その年の9月以降の標準報酬月額が決定されます。
また、固定的な報酬に変動があり2等級差が生じた場合は、他の被保険者同様、月額変更届を作成(算定基礎届同様、自社の報酬のみを記載)し提出します。