現在の開会中の国会において、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案が成立、公布されました。これにより、マイナンバーカードに健康保険証の情報を載せることが可能となりました。先日、首相官邸で開催された第4回デジタル・ガバメント閣僚会議では、これに関連する内容が含まれた「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針(案)」が資料として示されています。
会議で示されたこの方針のポイントは、
1.自治体ポイントの実施、
2.マイナンバーカードの健康保険証利用、
3.マイナンバーカードの円滑な取得・更新の推進等、の3点にまとめられていました。
2の内容としては、以下のとおりとなっています。
・マイナンバーカードの健康保険証利用の仕組みを令和3年3月から本格運用。
・全国の医療機関等ができる限り早期かつ円滑に対応できるよう、令和4年度中に概ね全
ての医療機関での導入を目指し、具体的な工程表を8月を目途に公表。
医療機関等の読み取り端末、システム等の早期整備に対する十分な支援を実施。
・令和4年度末までの具体的な移行スケジュールを含め、保険者毎の被保険者のカード取
得促進策を本年8月を目途に公表。
国家公務員や地方公務員等による本年度中のマイナンバーカードの取得を推進。
方針案の内容を確認すると、「令和2年4月より、マイナンバーカード交付時におけるマイナポータルを通じた健康保険証利用に係る予約同意による一括処理を進めるとともに、令和3年3月からは、一定の病院等の窓口における本人確認(顔認証方式)による登録処理を進める。さらに、初回登録等の手続における直接的なメリットの付与の在り方(ポイント等)についても、検討する。」という記載もあり、今後急速に整備が進められることが予想されます。
マイナンバーカードを健康保険証とする改正法案と管理が必要となる番号
少し前に各種メディアがとり上げたマイナンバーカードを健康保険証を利用することができるようにする改正案が2月15日に国会に提出されました。
これに関し、先日、改正案の条文も衆議院のホームページ等で公開されました。
改正法案を確認すると、マイナンバーカードの利用に関する部分では以下の2つの番号が新たにもうけられることになっています。
1.保険者番号:厚生労働大臣が健康保険事業において保険者を識別するための番号とし
て、保険者ごとに定めるもの
2.被保険者等記号・番号:保険者が被保険者または被扶養者の資格を管理するための記
号、番号その他の符号として、被保険者または被扶養者ごとに定めるもの
そして、電子資格確認として医療機関等で治療を受けようとする被保険者や被扶養者がマイナンバーカードを利用することで、医療機関等が情報をアクセスする仕組みになっています。なお、現在ある健康保険証(被保険者証)については変更されるものではなく、並存される予定です。法案成立後は会社の社会保険手続きの実務上、上記の1および2が増え、管理する必要が出てくるとともに、手続きの流れどのようになるか気になるところです。

作成日:2019/05/15
2021年3月からマイナンバーカードの健康保険証利用の本格運用が見込まれます。