2019年4月より施行される「一括有期事業の事務手続き簡素化」を盛り込んだ、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則等の改正が公布されました。
一括有期事業を行う事業主の事務手続を簡素化されます。
〜改正省令を平成31年4月1日に施行予定〜
厚生労働大臣は、労働政策審議会(会長 樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授)に対して、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行い、これを受け、同審議会労働条件分科会労災保険部会(部会長 荒木 尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授)で審議が行われ、妥当であるとの答申がありました。厚生労働省は、この答申を踏まえ、省令や関係する告示などの改正作業を進め、平成31年4月1日に施行する予定です。
【省令・告示案のポイント】
1.一括有期事業に係る地域要件(一括されるそれぞれの事業が一定の地域的範囲(隣接する
都道府県等)で行われること)を廃止します。
2.一括有期事業を開始したときに事業主が労働基準監督署に提出しなければならない一括有
期事業開始届を廃止します。
※一括有期事業:同一事業主が行う2以上の有期事業であって、一定の要件を満たすものに
ついて、法律上当然に1の事業とみなし、継続事業と同様に取り扱う制度。
改正項目その1 「有期事業の一括に係る地域要件の廃止」
現状、有期事業の一括の対象には「地域要件」があり、その範囲は保険料納付事務を行う事務所の所在地を管轄する都道府県労働局、当該都道府県労働局に隣接する都道府県労働局及び厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管轄区域内に限られています。この点、同じ建設会社の工事であっても全国各地で行う場合には、地域ごとの手続きが必要になるという不便さがあります。今回の改正によって、事務手続きの流れは下記の通り変更となります。
○有期事業の一括に係る地域要件を廃止し、遠隔地において行われる小規模有期事業について
も一括できることとし、労働保険の保険関係に係る行政手続コストの削減を図る。
(労働保険徴収則第6条第2項第4号関係)
改正項目その2 「一括有期事業開始届の廃止」
現状、一括された有期事業については、個々に労働保険の保険関係を成立させる必要はありません。ところが一方で、事業主は毎月10日までに、その前月中に開始した事業について「一括有期事業開始届」を所轄労働基準監督署長に提出することになっています。この手続きには、行政がいつ、どこで、どんな工事が行われているかを把握することで労災発生時に備える目的があります。しかしながら、一ヵ月のうちに小規模工事を数多くこなす事業主にとっては、月毎に開始届を提出することが大きな手間となります。
この点、2019年4月以降は下記の取扱いに変更されます。
○ 一括有期事業開始届を廃止し、労働保険の保険関係に係る行政手続コストの削減を図る。
(労働保険徴収則第6条第3項関係)
そもそも「一括有期事業」とは?
今回お知らせした改正項目は、建設事業、立木の伐採事業の事業主様で、一括有期事業を行う方に向けた情報です。「一括有期事業」とは、建設事業や立木の伐採の事業において、一定の要件を満たす2以上の小規模の単独有期事業が法律上当然に一括されて全体が一の事業とみなされ、継続事業と同様の方法で適用される制度のことです。
建設の事業においては「一工事の請負額が1億8千万円未満、かつ、概算保険料額が160万円未満」の場合、立木の伐採の事業においては「素材の見込生産量が1,000立方メートル未満で、かつ、概算保険料額が160万円未満」の事業に適用されます。

作成日:2019/02/14
2019年4月より、建設事業一括有期事業に関わる事務手続きが簡素化されます。